弁護士さん向けブロックチェーン授業①
弁護士さん向けブロックチェーン授業②
目次
送金するときに、世界中の人がマイニングするってどういうこと?
よくわからなかったのが、花子さんから太郎さんに1ビット送る、という行動をしたときに、世界中の人がマイニングをしてくれる、というところです。
①の回答:マイニングとは、わかりやすくいうと「計算競争」です。この計算の競争に勝った人が報酬をもらえる仕組み。
お給料の支払い方で、マイニングを理解しよう!
例えば、ゆうこりんしゃちょーが、コバお兄さんへのお給料10,000円をネット上で取引できる「楽天銀行」で払う場合、送金ボタンを押すと、コバお兄さんの口座へ振り込まれます。
当たり前ですが、楽天銀行専用のシステムを利用しています。楽天銀行は、このシステムをメンテナンスしているエンジニアさんや事務スタッフさんなどへお給料を払って働いてもらってます。
例えば、ゆうこりんしゃちょーが、コバお兄さんへのお給料10,000円をビットコインで支払うとします。本日のレートで計算すると「1BTC = 745,910 円」なので、10,000円なら0.01340644 BTCとなります。
ゆうこりんしゃちょーが、0.01340644 BTCをコバお兄さんへ送金。でも、ビットコインって会社も存在しなければ社長さんも社員さんもいません。会社がないわけですから、楽天銀行のように専用のシステムもありません。どこで誰が処理してくれてるの?これをやってくれるのが、計算競争(マイニング)に参加して報酬をゲットしたいと考える世界中の人です。
ゆうこりんしゃちょーも、コバお兄さんもこのマイニングと呼ばれる計算競争に参加することが可能です。あなたも私も誰でもマイニングに参加できるのです。とはいえ、ある程度コンピューターの知識がないと、マイニングのやり方がわからないので現実的には不可能です。
それは、日本では電気代が高くてたとえ計算競争に勝ったとしても割に合わないからです。なので実際には、電気代の安い国で、たくさんのコンピューターを常時接続して、企業や団体が組織的にマイニングしています。
トランザクションとマイニングの違い
情報業界に誰が誰に送金(ビットコイン)した、ということがオープンにされていて、それをタイミングよく発見した人が手数料目当てにトランザクションして、マイニングをするという仕組みなのですか?
②の回答:だいたい正解です!
補足1:情報業界だけにオープンにされているのではなく、世界中の誰にでもオープンにされています。儲かるかどうかは別として、ちょっと勉強すれば、近所のおばちゃんであれ、お隣に住むおじいちゃんであれ、だれでもマイニングに参加することは可能です。
補足2:厳密に言うと、送金するときのアクションが「トランザクション」になります。わかりやすく楽天銀行にたとえるなら、ログインして、「ゆうこりんしゃちょーが自分の口座からコバお兄さんの口座へ10,000円送金」と入力して「送信ボタン」を押すことがトランザクション。
そのトランザクションを見つけて、ブロックに取り込む動作がマイニング。
トランザクションとマイニングって混同しちゃいますよね。
このややこしい部分を、テスト環境で実践しながら解説しています☟
ビットコインの価格変動の要因はなに?
そして、1ビットコインの価値が上がったり下がったりするのはどういう事情に左右されるのですか?言葉を変えると、送金処理をしているだけなのになぜ(どこで)価値が上がるのですか?
③の回答:現状ではほぼ、個人の投機目的で価格が変動しているといっていいかと思います。例えば、株式市場ですと、個人投資家だけでなく、銀行や証券会社、保険会社と呼ばれる機関投資家や、日銀が景気をあげるために行う公開市場操作(買いオペとか売りオペ)、そして日本だけじゃなく外国のヘッジファンドと呼ばれる物凄い金額を動かす投資家などによって市場価格が決まります。
ETF・J-REIT買入 日本銀行が、ETFやJ-REITを買い入れることによって資金を供給する。
- ETFとは、上場している投資信託のこと
- J-REITとは、上場している不動産の投資信託のこと
投資信託とは、例えば「わくわく投信」という商品があります。この商品のポートフォリオ(中身)はトヨタの株、任天堂の株、ソフトバンクの株、といったようにいろんな種類の株を詰め込んで一つの投資信託がつくられているのです。
そうすることによって、トヨタの株がさがっても、任天堂があがってたら損を防げるじゃん!みたいなイメージです。どんな商品を詰め込んで運用するかを考えているのがファンドマネージャーと呼ばれる運用のプロフェッショナルです。
投資信託のうち、証券取引所に上場していいるものが、ETFやJ-REITになるんですね。上場することによって多くの人から買ってもらえるので、企業さんは資金調達しやすくなるといったメリットがあります。
このように、暗号通貨は、いまのところ、国や機関投資家(銀行・保険会社・証券会社)が商いに入ってきていませんので、個人が投機目的で売り買いすることにより市場価格が決まります。
また、ビットコインは決済のための手段として、イーサリアムはスマートコントラクト(契約の自動化)など、そのブロックチェーンによって用途と目的はさまざまですが、現時点では、投機目的、ICOによる資金調達以外の仮想通貨の運用は、ビットコインの決済手段以外はほとんど実験段階にすぎない状況ですね。
マイニング報酬はどこから支払われるの?
あと、トランザクションによるマイニングの対価(手数料)は、どこから支払われるのですか?
④の回答:なかなかいい質問ですね!これはちょっと難しいです。
まずは、ビットコインの「半減期」と呼ばれる仕組みを理解していただく必要があります。
ビットコインは最終的な量がきまっています。その量まで増え続けます。例えば、2020年までに世界全体で100枚のようにきまっているとすると、採掘するたびに新規で発行され、その数は増え続けますが、2018年時点で80枚なら、あと20枚が限度となります。←この、あと20枚の部分が報酬に割り当てられます。これを、採掘報酬(コインベース)と呼びます。
- コインベース(採掘報酬)のアウトプットの金額
(例えば、ビットコインなら、ちょっとっずつ増えていく部分をマイナーに割り当てる。ビットコインは採掘時のみに新規で発行されます。新たに発行されたビットコインは、計算競争に成功したマイナーに報酬として付与される。) - 手数料(実は送信元の人が、送信相手に送るお金から、マイナーにあげる報酬分として何割か引かれています)
ブロックチェーンが目指す社会とその仕組み
どういう経済観念でこの仕組みが動いているのかな、と思いました。
⑤の回答:ブロックチェーンを説明するときに「分散型社会」「非中央集権社会」という二つの似た言葉が用いられます。この反対語は、私たちがあたりまえに利用している「中央集権型社会」です。
ざっくりというと、管理者は関わる人みんなであって、トップが存在しないというのが、「非中央集権」です。フェイスブックにも、Twitterにも会社があって社長がいますが、ビットコインには会社もなければ社長もいません。
ブロックチェーン推進派の人たちは、自分たちだけの仕組みや通貨をつくって、政府にたよらない自分たちだけの新しい国家を作ろう!みたいなノリの方も多いようです。
とはいえ、インターネットの登場に匹敵するほど世界を変えるのではないかと言われるこのテクノロジーを利用して一儲けしたいと考える企業や地方自治体も多いようです。
ブロックチェーンとリーガルテック
ここからどうリーガルテックに結びつくのかものすごく気にになります!!
質問⑥:特に注目されているのが、契約の自動化=スマートコントラクトという概念です。因みに、ビットコインのブロックチェーンには色々書き込めないのでスマートコントラクトには使えないのです。そこで登場したのが、ブロックチェーンに色々書き込めるイーサリアムというブロックチェーンです。このイーサリアム(イーサ)なら色々なビジネスに応用できるのではないか?となり、価格が急上昇してビットコインにつぐ第二位の時価総額を誇る仮想通貨となりました。
また、技術の急激な進歩に法律が追いつかないことで、詐欺まがいの事件や、悪質な犯罪も見逃されていたり、新しいサービスをつくりたくても「これって法律的にどうなの?」という企業さんも多いことかと思います。金融の在り方がここまで変貌を遂げた現在、これからは、法律や法律家の在り方も世の中の変化に合わせてどんどん変わっていくのではないでしょうか?
弁護士さんが起こした会社、弁護士ドットコムさんは、りそな銀行さんと、デジタルガレージさんというIT企業でアライアンスを組み、スマートコントラクトに参入しています。
- ビットコインなどの暗号通貨の取引所での売買(ハッキングなどの不正行為による責任追及の在り方)
- スマートコントラクト(ブロックチェーンを利用した契約の自動化による法的効力)
- Aapps(分散型アプリケーションの違法性の法的解釈・例えばエスクローとか投げ銭とか)
- ICO(暗号通貨による資金調達の法整備)
※「ゆうこりんしゃちょー×コバお兄さん対談」は記事の最下部にございます。